2024/03/01
インターネットで検索すると「圧力鍋で玄米を炊くと発がん性のあるアクリルアミドが大量に生成される」と書かれたサイトが多く見つかります。
そこで、アクリルアミドに関して調べると、農林水産省のホームページで以下のような説明がなされています。
ヒトがアクリルアミドを大量に食べたり、吸ったり、触れたりした場合に、神経障害を起こすことがこれまで確認されているほか、国際機関は、動物実験の結果から、ヒトにおそらく発がん性がある物質とアクリルアミドを分類しています。
農林水産省:アクリルアミドとは何か
- 食品中にアクリルアミドができる主な原因は、原材料に含まれているある特定のアミノ酸と糖類が、揚げる、焼く、焙るなどの高温での加熱(120℃以上)により化学反応を起こすためと考えられています。水分含有量の少ない場合には、特にアクリルアミドができやすくなるとされています。
- アミノ酸や糖類は、食品にごく普通に含まれている一般的な化学物質であり、栄養成分でもあります。特に、穀類、いも類、野菜類などに豊富に含まれています。食品に含まれているそのような化学物質は、加熱によって分解したり、別の化学物質に変化したりしますが、その過程でアクリルアミドもできてしまうと考えられています。
「高温での加熱(120度以上)」、「アミノ酸や糖類は、穀類などに豊富に含まれる」と言うあたりが、「圧力鍋で玄米=発ガン」説の根拠となっているかと思います。(圧力鍋は最大で120℃~130℃前後になるようです)
ただ一方で、「水分含有量の少ない場合には、特にアクリルアミドができやすくなる」とも書かれており、水分が多い炊飯の場合にどこまで出るのかはわかりません。
ここあたりは「大量に発生させる」と危機感を煽る書き方をするサイトはたくさんありますが、色々と調べても具体的な数字のデータは出てきません。
※お米に限らず圧力鍋と普通鍋での調理によるアクリルアミド発生量の差についてのデータは見つけられませんでした。
ただ、圧力鍋ではなく、一般的な炊飯器を使用した場合のアクリルアミドの含有量調査のデータは見つけることができました。
「日本における炊飯米由来のアクリルアミド摂取量評価」によると圧力鍋ではなく炊飯器で炊いた場合でも、アクリルアミドは微量ですが発生しています。
ただ、「本測定結果を日本人の炊飯米の摂取量と合わせて考えると,他の食品を含めたアクリルアミドの摂取量全体に対して,炊飯した精白米からのアクリルアミド摂取の寄与は小さいことが確認された.」とも書かれており、そこまで心配する必要はないのかもしれません。
ちなみに、「焦げを生じさせるとその寄与はアクリルアミドの摂取源の一つとして無視できないものとなり得る.」とも書かれており、「水分含有量の少ない場合には、特にアクリルアミドができやすくなる」と言う点から、ご飯を炊く際に気をつけるべきなのは圧力鍋かどうかと言うよりは、おこげを作らないようにすることかもしれません。
補足:【農水省】平成28年度「安全な農林水産物安定供給のためのレギュラトリーサイエンス研究」委託事業に「加圧調理がアクリルアミド生成に及ぼす影響の検証」と言うことで炊飯やその他の料理でのアクリルアミド生成の研究がされているようですので、今後の研究成果を待ちたいと思います。
(研究委託事業の計画によれば「炊飯器の早炊きモードで炊飯(1.4 気圧 110 ℃)の場合は通常の炊飯との差はなかった」と言うことです。)